お別れ

ラグナ共和国の空港には、藤倉真星を見送るために島民たちが大勢集まっていた。「ラグナ杯優勝・藤倉真星」と書かれた大きな垂れ幕が掲げられ、子どもたちは旗を振りながら彼の旅立ちを祝福した。王様やリリア王女、そして王族たちも空港に駆けつけ、真星に別れを告げた。

「リリアとの3日間も楽しんでいただけたようで何よりです。この大会を通じて、囲碁がいかに人々を繋ぎ、国々の架け橋となるかを改めて実感しました。そして、ラグナ共和国が世界中から注目されることとなりました。本当にありがとう、真星さん。」
王様は真星としっかりと握手を交わし、感謝を伝えた。

リリア王女も微笑みながら語りかけた。
「とても楽しい3日間でした。またお会いできる日を楽しみにしています。」
「本当にありがとうございました。次はぜひヤマト国にいらしてください。」
2人が握手すると、周囲の人々から歓声が沸き起こった。

真星は別れの挨拶を求められ、少し緊張しながらも堂々とマイクを握った。
「このような素晴らしい大会を開催してくださったラグナ共和国の王様、そしてリリア王女に心から感謝申し上げます。また、対戦した全ての選手たちにも感謝いたします。この大会を通じて、囲碁の魅力を再確認するとともに、多くの人々と繋がることができました。そして、リリア王女とのデートを通じて、囲碁以外の世界を知るきっかけをいただきました。この3日間は、僕にとって一生忘れられない時間になりました。」
温かな拍手が空港に響き渡り、真星は静かに一礼してラグナ共和国を後にした。

ラグナ杯の今後とリリア王女の決意

大会後、王宮は公式に「ラグナ杯の今後の開催は未定」と発表した。また、リリア王女とのデートは今回限りとすることも明らかにされた。この発表に、SNSやニュースでは惜しむ声が相次いだ。

一方で、リリア王女はSNSで感謝のメッセージを投稿した。
「ラグナ杯を通じて、囲碁の素晴らしさと人と人を繋ぐ力を改めて実感しました。いつかセリア国、シャンル国、カリスタ公国にも訪れてみたいです。そして、留学を終えた後はラグナ共和国に戻り、島の魅力を世界中に発信し続けることが私の使命だと思っています。」
この投稿は多くの人々の心を打ち、数十万の「いいね!」を集めた。

新たな謎:「石の碁盤」の調査

ラグナ杯終了後も、「石の碁盤」に関する話題は尽きることがなかった。昔からある欠けた岩が、石の碁盤の一部ではないかと注目され、ラグナ国内で本格的な調査が始まった。岩には微かに碁盤のマス目のような線が彫られており、これが複数の破片からなる碁盤である可能性が指摘されている。

また、この情報は世界中の研究チームにも共有され、ヤマト国の「碁石海岸公園」でも類似する遺物の探索が進められることとなった。
「もしかすると、ヤマト国にも眠る海賊船があるのかもしれない。」
地元の歴史家や研究者たちは調査を開始し、観光客や地元住民も期待に胸を膨らませていた。SNSでは「#碁石海岸の謎」「#石の碁盤を探せ」といったハッシュタグが話題となり、新たな冒険の予感が漂っていた。

雪乃の想い

真星がヤマト国に戻ると、道場では師匠や仲間たちが彼を温かく迎えた。
「真星、おめでとう。少しゆっくり休むんだぞ。」
師匠の岡田九段は心配そうに言ったが、真星は微笑みながら答えた。
「3日間も囲碁から離れてリフレッシュしてきましたので、大丈夫です。」
その言葉に、師匠は安心したように頷いた。

その夜、真星は雪乃を公園に誘い、小さな箱を手渡した。
「お土産を渡したくて。」
中には一粒の真珠が付いたシンプルなネックレスが入っていた。雪乃は感動し、言葉を失った。

「これから付き合おう。でも、碁が中心の生活は変わらない…誕生日やクリスマスも会えないかもしれないけど…」
真星が言葉を続けると、雪乃は突然泣き出した。
「嬉しいんだもん…ずっと好きだったんだよ!」
泣いたり笑ったりする雪乃を見て、真星も思わず笑い出した。
2人は手をつないで歩きだした。
「絶対にラグナに連れて行ってね!」
雪乃は強い口調で真星の顔を覗き込んだ。
「まずは碁石海岸に行こう。いつかラグナにも一緒に行こう。」
雪乃は嬉しそうに頷いた。

新たな物語の幕開け

ラグナ杯は幕を閉じたが、石の碁盤の謎や囲碁が繋ぐ人々の絆はこれからも続いていく。ヤマト国の碁石海岸やラグナ共和国を舞台に、新たな冒険と挑戦が待ち受けている。真星と雪乃、そしてラグナの人々が紡ぐ次なる物語が、再び世界を熱狂させる日が近いかもしれない。