第13章:秘境と海賊船博物館の謎

朝の再会

翌日、真星とリリア王女はラグナ島の秘境「エメラルドの谷」を訪れるため、小さな港へ向かった。

「おはようございます、真星さん。今日は少しアクティブな日になりますよ。」
「おはようございます。昨日の列車の旅が素晴らしかったので、今日も楽しみです。」

港には観光客たちが集まる中、2人のために特別に手配された小型の船が用意されていた。

「船に乗る前に、まず『白石の浜』をご案内しますね。」

朝日に照らされた海辺には、無数の丸い白石が敷き詰められた美しい浜辺が広がっていた。

「ここは『白石の浜』と呼ばれています。囲碁の白石にそっくりでしょう?」
リリアが微笑みながら説明すると、真星は白石を一つ拾い上げた。
「少し大きいですが、本当に囲碁の白石によく似ていますね。ヤマト国では蛤を使った白石が高級品として知られています。」
真星が石を眺めながら言うと、リリアは大きな石の碁盤と石の碁笥を指差した。
「こちらは父が考案したものなんです。観光客がお土産に白石を持ち帰ることが増えて困っていました。でも、この碁盤を設置して『合格祈願になるおまじない』と説明を加えたところ、石を置いて楽しむ方が増え、解決しました。」
「それは素晴らしいアイデアですね!」
真星は碁盤を眺め、少し考えた後、慎重に石を置いた。
その様子をリリアが写真に収めた。
「素敵な写真が撮れましたよ。この写真をSNSにアップしてもいいですか?」
「もちろん、構いません。」
真星は照れくさそうに頷いた。

「ヤマト国の『黒石の浜』もこんな感じなのですか?」
「ええ、とても似ています。白石と黒石を合わせれば、まるで碁が打てそうですね。」
2人は顔を見合わせ、微笑み合った。


秘境「エメラルドの谷」

その後、船に乗り青く澄んだ海を進むと、緑豊かな崖と透明な海に囲まれた「エメラルドの谷」に到着した。

「ここがエメラルドの谷です。静かで美しい場所でしょう?」
「ええ、まるで絵本の世界に迷い込んだようですね。」

2人は石の階段を登り、谷の中心部にある小さな滝と洞窟へ足を運んだ。洞窟内には石で彫られた不思議な模様が壁一面に刻まれていた。

「この模様は…囲碁の盤面に似ていますが、星形や月形もありますね。」
真星は模様をじっと見つめ、思索にふけった。

海賊船博物館での新発見

秘境の探訪を終えた後、2人は午後に「海賊船博物館」を訪れた。この博物館には15年前に発見された沈没船の再現模型や船内から見つかった財宝が展示されている。

「ここがラグナの海賊船博物館です。囲碁盤が沈没船の発見に役立ったという歴史もここに記されています。」

リリアの説明を聞きながら、真星は石の囲碁盤の展示の前で足を止めた。
「これがその碁盤ですね。この模様は白石の浜と関係しているのでしょうか?」

博物館の館長が答えた。
「はい。この碁盤に描かれた局面が海賊船の沈没場所を示す手がかりとなったのです。しかし、この局面の完全な意味はまだ解明されていません。」

さらに進むと、別の石の碁盤の欠片が展示されており、ラグナ島に隠されたさらなる手がかりを示唆しているかのようだった。

デートの終わりと次の約束

夕暮れ時、2人は博物館を後にし、近くのカフェで軽い夕食を共にした。

「今日も本当に素敵な一日でした。」
真星が感謝の意を述べると、リリアは穏やかな笑顔を浮かべた。
「私も楽しかったです。今度はヤマト国の碁石海岸を訪れてみたくなりました。」
「ぜひいらしてください。その時は僕が案内します。」

2人は心から打ち解けた様子で話を続け、和やかな雰囲気の中でデートの2日目を締めくくった。

次の日、石の碁盤遺跡を訪れる計画が2人を待っていた。果たしてどんな新たな発見があるのだろうか?