第11章:運命の最終局
運命の第三局:開始前の緊張感
ラグナ杯決勝戦の三番勝負も、ついに最後の第三局を迎えた。会場は試合開始前から熱気に包まれ、観客席は満席、世界中でライブ中継が行われていた。


「黒番は藤倉、白番はマーク。いよいよ運命の一局が始まります!」
解説席の声と共に、藤倉が一礼し、静かに黒石を盤面に置いた。試合が始まると、序盤から緊張感が漂う一手一手が続いた。

中盤:予想外の展開
中盤に差し掛かると、真星が誰も予想しない一手を打ち、AI評価値がバーンと下がった。
ヤマト国の中継陣営では「ああ…」と落胆の声がもれた。
一方、セリア国の解説者は、
「これはチャンス到来ですね。時間を使いたい場面です」
予想通りマーク選手は長考に入り、両陣営も研究に熱が入った。

終盤:一瞬の隙
試合はマーク選手がわずかに優勢で大ヨセを迎えた。両者は秒読みの中、AIの予想と同じ着手が続くハイレベルな進行が続いた。
そんな中、マーク選手は秒に追われ、時間つなぎを打った。真星も秒読みギリギリで次の一手を着手した。

勝利の瞬間
その瞬間、AI判定がグンと上がり、形勢が真星の優勢へ。解説会場にはどよめきが起こった。マーク選手の着手が敗着となり、真星の勝利が確定した。会場は大きな歓声が起こった。
「素晴らしい勝利です!藤倉選手、これでラグナ杯の栄冠を手にしました!」
解説席からも興奮した声が響く。
試合後、真星はインタビューで語った。
「本当に厳しい試合でした。マーク選手の強さに圧倒されました。最後は運が良かったです。この勝利は支えてくれた全ての人たちのおかげです。」

敗者マークのコメント
一方、敗れたマークは清々しい表情でコメントした。
「藤倉選手の一手一手には、彼の経験と努力が詰まっていました。負けたことは悔しい。もっと精進して、また戦いたい」
その謙虚な姿勢に、観客からも惜しみない拍手が送られた。

優勝記念祝賀会

その夜、ラグナ共和国の王宮庭園では、優勝を祝う盛大な祝賀会が開かれた。庭園は美しい花々で彩られ、夜空には無数の星が輝いていた。特設ステージでは、地元の音楽家による演奏が行われ、会場全体が優雅な雰囲気に包まれていた。

リリア王女が藤倉に歩み寄り、微笑みながら声をかけた。
「真星さん、本当におめでとうございます。この大会を通じて、あなたの実力と誠実さに感動しました。」
藤倉は軽く頭を下げ、謙虚な口調で答えた。
「ありがとうございます、リリア王女。この大会があったおかげで、囲碁の持つ新たな可能性を感じることができました。」

その様子は周囲の人々の目を引き、祝賀会の華やかなムードをさらに高めた。

リポーターたちの興奮

祝賀会の中で、囲碁界のリポーターたちも藤倉へのインタビューを試みていた。川上和也もステージ近くで声をかける。
「真星、優勝おめでとう!今の気持ちはどうだ?」
「ありがとう、和也さん。本当に厳しい試合ばかりで、自分の限界に何度も挑戦させられました。でも、この経験を糧にもっと成長したいと思います。」
「明日からの3日間のデートについて、みんな興味津々です!どんな気持ちですか?」
真星は照れながら
「3日間も囲碁から離れるのは、プロになってからは初めてです。楽しい時間になるように頑張ります」
会場からは拍手が湧き起こり、大盛り上がりだった。

そのやり取りがSNSでも瞬く間に拡散され、藤倉とリリア王女の微笑ましい交流が注目を集めた。

王様からの特別な一言

祝賀会も終盤に差し掛かった頃、王様がステージに登壇し、マイクを手に取った。
「藤倉真星さん、マーク・エリオットさん、素晴らしい対局をありがとうございます。囲碁がいかに人々を繋ぐ力を持つかを示してくれました。この大会を成功に導いてくれた全ての選手に感謝します。そして藤倉真星さん、明日からの3日間は、優勝者としてリリアと共に特別な時間を過ごしてください。
そして、すべての皆様へお願いです。2人が気兼ねなく過ごせるように、遠くから見守ってください。」

この発言に観客席は大いに盛り上がり、大きな拍手と歓声が響き渡った。真星は少し照れくさそうに微笑みながら、深々とお辞儀をした。